2017年11月17日

夜さんぽ 木村いこ



自律神経を壊し不安障害になり外に出られなくなったイラストレーター兼漫画家の著者。
体重が増加のため、できる運動は・・ということで夜のウオーキングをすることになる。
同居人であり相方の男性を付き添いに、夜の散歩で著者(たまに相方)が見る情景を
描いたエッセイもの。
不安障害を抱えている著者の話だが、医学的な見解などはなく、
(病を得たことによる感覚の弊害の描写はあるけども)
著者当人が見たり聞いたり感じたりしたことを淡々とかつ叙情的に描かれている。
ちょっとだけ辛い印象を受ける主題ではあるが、
牧歌的でほんわかとした絵柄と作風は変わらず、
ゆっくりとした気持ちで堪能出来る内容だった。
相方さんと著者のやりとりが微笑ましく、いいコンビだなと思う。
相方さん視点の話もしんみりとした。
個人的に、夜のひっそりとした町を歩くのってちょっと冒険的な心持ちになる
ことがあり、その点で共感をひしと感じた一作だった。

木村いこ
リュウコミックス全1巻/ 徳間書店
ジャンル:エッセイ / 好み度:★★★★☆
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posted by 日暮 at 15:29| Comment(0) | タイトルや行

2017年11月16日

四ツ谷十三式新世界遭難実験 有馬慎太郎



月など他天体に一瞬で行ける超光速航行装置が存在する近未来。
その装置の開発者でありマッドな科学者に嵌められて
未知の惑星に遭難した博士の弟をはじめとした一行のSFサバイバル漂流記。
まあ件の博士も自分だけ逃げておくつもりが一緒に遭難してるんだが。
物語の主人公・・なのだろうが、物語においてはやっかいな悪役といってもいいよね。
飄々とした悪戯好き、笑顔で迷惑行為をためらいなくやるタイプ。
共にサバイバルを行う・・という形に見せて実は
愉快犯と被害者の命がけのだましあいというか駆け引きな展開もあったり。
つかみ所がないエキセントリックな博士を排除したいが
博士の知識は必要、みたいなジレンマが面白い。
奇妙というかアクのある人間相関とSFなサバイバル展開は見応えがある。
富樫作品が好きならこの話も面白いと思う。

有馬慎太郎
ブレイドコミックス1〜 / マッグガーデン
ジャンル:少年・SF・アクション / 好み度:★★★☆☆
posted by 日暮 at 19:59| Comment(0) | タイトルや行

2017年11月14日

あしあと探偵 園田ゆり



家出や駆け落ち・事故や犯罪など様々な事情で失跡した人間をさがす「人捜し」専門の探偵業を描いた物語。
勤めていた会社が倒産し職探しの中、人捜し専門の探偵会社に面接にきた青年。
試用期間として、先輩のメガネの探偵の助手として彼の仕事についていくことになる、というはじまり。
表紙にあるメガネの探偵は腕は確かだが変人のメガネ探偵と、まっすぐで素直な新米探偵のコンビに加え、
探偵会社に所属する面々も個性的でキャラがたっているように思う。
浮気調査でもなく派手なアクションがあるでない人捜しが主題なので、探偵が探し当てる対象人や依頼人の人間ドラマが展開される。
人捜しミステリはけっこう見応えがあり、人間ドラマの流れと構成は秀逸。淡泊なメガネ探偵と依頼人や助手の熱さの対比とか、新米助手の視点で物語を動かしているのも巧い具合だと思う。
熱さと淡々とした雰囲気の配分も読みやすい。

園田ゆり
アフタヌーンKC1〜 / 講談社
ジャンル:青年・ミステリ・ドラマ /好み度:★★★★☆
posted by 日暮 at 21:56| Comment(0) | タイトルあ行

2017年11月13日

芋虫少女とコミュ障男子 三三



自分に自信がなく矮小な人間という自覚を持つ男子は、
美人で頭が良く非の打ち所のない幼馴染みの女子に告白され、無理だと答える。
その後女子は行方不明になり、男子の前に現れた時には人ではないものになっていた。
辛いというかせつないというか、なんでこうなった、と言いたくなる展開に心がきゅっと
なる内容だった。
男子は様々な要因で卑屈になっていて、女子の告白を拒否したのは彼女に興味がないからでも
嫌いだからでもなく、自分が惨めになるからという理由。
一方、女子はそんな男子をずっと見てきて自分だけは変わらず男子を好きでいようと決めて
いたが告白して玉砕、自分が優秀な者でなくなったら男子は自分に向いてくれるのかと
ひとでないものになった。
このふたりに女子の願いを叶えた、人にも化けられる人外の女子が加わる。
愚直というか身も蓋もないというか割れ鍋に綴じ蓋というか方向性が刹那的というか。
それゆえに妙ないとおしさも感じるわけで。
わかりやすいハッピーエンドではないがこの物語にふさわしいラストだと思う。

MFCジーンピクシブ全1巻 / メディアファクトリー
ジャンル:少女・オカルト・ドラマ / 好み度:★★★★☆
posted by 日暮 at 21:09| Comment(0) | タイトルあ行

2017年11月12日

うらみちお兄さん 久世岳



幼児参加型の教育番組の
いわゆる「体操のお兄さん」を勤める青年と
出演する子供達の会話劇を中心とした
ちょっとブラックが入ったシュールコメディ。
番組のお約束のテンションで幼児と会話するものの
たまにお兄さんの心の闇がぽろっとはみ出るところが肝。
子供達のよくある質問に、歯に衣着せない直球な返答をしたり
闇を抱えた素顔をだしてみたり。
仕事や人間関係やらの大人のホンネを出してしまう
情緒不安定なお兄さんの側面に幼児たちはどん引きしたり
意味はよくわかっていないけど察したり。
子供に悪影響が、となんでもオブラートに包んでしまう現代に
おいてのアンチテーゼ・・は大げさか。
前知識なしで買ったけどなんか賞をとった作品らしく人気作みたい。
支持されるのはお兄さんの発言は共感してしまう
読み手が多いんだろうか。私もその一人だけど。
夜中の実写ドラマなどの原作にあうかもしれない。

久世岳/一迅社1〜
ジャンル:コメディ / 好み度:★★★☆☆
posted by 日暮 at 17:22| Comment(0) | タイトルあ行