2017年09月20日

アデライトの花 TONO



名家を舞台にした愛憎群像劇とパンデミックオカルトストーリー。
西欧風文化の国の名家・ハント家が舞台。

未成年の長男は他人のほとんどが動物の姿に見え、自分の母と姉のみ。
家の状況を描く中で登場する、母が哀れみで雇った不潔な女中も獣の姿に見える。
そんな中、父の二番目の妻として南国からアデライトがやってくる。
長男にはアデライトも後に生まれるその息子も人間に見える。
二番目の妻とは言うが、実は家同士で婚約を交わしていた相手で、
当主はそれを破って現在の妻と結婚した経緯がある。アデライトはその事実を知らず
輿入れしてきており、故郷にも帰れないので別棟で二番目の妻として
暮らすことに、というかんじ。そしてアデライトにも息子が生まれる。
しばらくしてアデライトは彼女の病に伏せる。彼女の故郷の風土病で故郷では風邪の
ようなありふれた病ゆえ医者も楽観視していたのだが・・というあたりで話が動く。
当主・当主の妻・母・長男・長女、召使いたち、当主の二番目の妻とその子が織りなす群像劇
であり、ジワジワと病が浸食していく過程が描かれるパンデミックものでもある。
エンタメでないさりげない演出にリアリティのある描写、長男の視点という設定で
登場人物が獣と人に分けられているのが興味深い。その違いの尺度は何なんだろう。
あと病の明確な症状に花を使う設定がうまいなあ。綺麗な花と香りが死に直結してるという。
物語の視点は次々と変わり、各々の心情が描かれていく。
エピソードの1つ1つが、フィクションの世界でありながらとても身近に感じることが
多いのも印象的だった。残酷なことも日常的なことも含めて。
著者いわく物語のヒロインという、召使いの女性の描写がまたリアル。
彼女は異臭で周囲から嫌われていたがその理由もきっちり描いてるのが印象深かった。
1巻のあとがき読んで、ええヒロインなん?とちょっと驚いた。
家の中の一連の出来事の傍観者という立ち位置なのかなあとは思ったけど。

Nemuki+コミックス1〜 / 朝日新聞出版
ジャンル:女性・ドラマ /好み度:★★★★★
posted by 日暮 at 17:01| Comment(0) | タイトルあ行

2017年09月14日

明日も未解決 桑田乃梨子

明日も未解決 (楽園コミックス)
桑田乃梨子
発売日:2017-01-31



同級生の男友達・原田が交通事故で死んだ。
同中というのもあり、度々河原の道を一緒に帰っていた吉元は、
葬式の帰り道に感慨にふけっていたところ、原田の霊に話しかけられる。
原田が吉元の背後霊になっているのは、生前原田が吉元に言いたかったことを
思い出せない未練からのようで・・。
原田の未練を解明し成仏させるのが主軸なのだが、究明するかと思うと横道に逸れたり
逸れたようでいろんな方面から話が進んでみたり、と著者独特の絶妙なバランスで
展開されていく。
吉元を始めとして、霊感のある嵐柴や、嵐柴に傾倒する友人やクラスメイト達を
交えての学園ライフ的なお話。
著者のキャラって達観してたり冷静なタイプと、欲に充実なタイプの
バランスがめっちゃ良いんだよなあ。
わがままなキャラはたいてい邪険に扱われる役どころだけど、
めげずに貫いてるとこが良い。
まあ基本的になんのかのと良いやつばっかなので読んでてほっこりする。
茫洋としたというかのほほんとしつつも人物たちは割と理路整然と議論や行動を起こし
最後にはしんみりとほろっとくる締め方が絶妙。

楽園コミックス全1巻 / 白泉社
ジャンル:女性・学園・ドラマ / 好み度:★★★★★
posted by 日暮 at 23:24| Comment(0) | タイトルあ行

2017年09月09日

雨天の盆栽 つるかめ



題名通りの女子高生による盆栽ライフを描く学園青春もの。
空気を読んで他者にも自分にも偽るごく普通のちょっと空想癖もある女子高生は、
他者と迎合しない容姿端麗なクラスメイトに惹かれ近づいてみたところ、彼女は盆栽マニアだとわかる。
普段のクールな印象と違い盆栽に関しては多弁な彼女に影響され盆栽の魅力に近づくことになる。
盆栽という知ってる人は知ってるけど知らない人はほぼ知識の無い趣味の世界を題材にした話。
素人の人物に物語の視点を置き、その道の達者なヒロインを描くという構図かな。
趣味の世界に女子高生を置くことで描く話は昨今よく出てきているが、題材から特殊な背景設定が
ない分、場面場面の大仰さが若干目立つ。内容的には凡庸というか可も無く不可も無くだが
思ったより読みやすく盆栽というジャンルに興味を惹く内容だったように思う。
絵は快活なコメディに合う絵柄で読みやすく巧い。

つるかめ
マッグガーデンコミックス Beat’sシリーズ1〜 / マッグガーデン
ジャンル:少年・青春・趣味 / 好み度:★★★☆☆
posted by 日暮 at 00:00| Comment(0) | タイトルあ行

2017年09月08日

愛犬が、私を愛してくれません。どてどてどてちん! 高久尚子



著者と著者の飼い犬どてちんと同居人で漫画家の日々の暮らしを綴ったエッセイもの。
主に著者と著者の飼い犬だけどさっぱり著者に懐かないどてちんの関係がネタになっている。
愛犬が家に来た当時著者が多忙で、著者のアシスタント業務もやっていた
同居人さんに世話を一任していた結果、愛犬の種が主人をひとりしか認めない性質なのも
あって同居人さんにしか懐かないという、なるべくしてなった状況みたい。
同居人漫画家さんのエッセイで著者と愛犬の話は度々登場していたので
相関?の予備知識は有ったけど、誇張無しだったのかというのが正直な感想。
犬種の性質をわかっててなぜ、というツッコミもなくはない。
つれない愛犬に一喜一憂し、親ばかならぬ愛犬バカを遺憾なく発揮する著者は愛おしい。
しつけを失敗して言うこと聞かないってのはわりと見るけど、
犬でこのパターンは珍しいかもしれない。
ペットものとしてはけっこう楽しかった。漫画を描き慣れた著者だけに
展開のテンポが良く読みやすいのも良い。

高久尚子
キャラコミックス全1巻 / 徳間書店
ジャンル:エッセイ・ペット(犬) / 好み度:★★★★☆
posted by 日暮 at 00:00| Comment(0) | タイトルあ行

2017年09月03日

衛宮さんちの今日のごはん TAa/TYPE-MOON



Fate/staynightの舞台設定と登場人物(主に主人の衛宮士郎)による料理漫画。
マスターやサーバントたちが冬木の街にわりと平和に暮らしている舞台設定で
衛宮士郎がつくる料理をセイバーをはじめとした面々がおいしく食べたり、
料理を覚えたい登場人物が士郎に教えてもらったり、他キャラが得意な料理を作ったり。
様々なパターンで繰り出されるほっこりなエピソードばかり。
本編はシリアスだが後に別口でゆるいノリのADVゲームもあったはずなので違和感はない。
イリヤ主人公のスピンオフやら別設定のゲームなど次々に出しているシリーズだが、
ついにグルメ分野にも進出か、と妙な感慨がある。
原作でも主人公の作る料理は絶品という設定があるので不自然ではないのだが。
料理手順は詳細かつわかりやすいし、幕間に詳細なレシピもついている。
機を衒った男飯でもアイディア料理でもない料理の基本を学べる内容。
平日のごはんからおもてなし料理まで幅広くリアルに使えるメニューばかり。
「今日何食べた?」並に現実に即した内容だなと感じた。
元ゲームを知らずとも楽しめるし料理初心者にはかなり使える作品だと思う。
これを読んで魚の下処理方法を初めて知りました。めっさ恥ずかしい;;
絵は原作絵をちょっと柔らかくしたような絵柄でとても好み。
キャラたちの食べたときや料理が完成したときなどの柔らかな笑顔が良い。

角川コミックス・エース1〜 / 角川書店
ジャンル:少年・グルメ / 好み度:★★★★★
posted by 日暮 at 21:28| Comment(0) | タイトルあ行