2017年11月14日

あしあと探偵 園田ゆり



家出や駆け落ち・事故や犯罪など様々な事情で失跡した人間をさがす「人捜し」専門の探偵業を描いた物語。
勤めていた会社が倒産し職探しの中、人捜し専門の探偵会社に面接にきた青年。
試用期間として、先輩のメガネの探偵の助手として彼の仕事についていくことになる、というはじまり。
表紙にあるメガネの探偵は腕は確かだが変人のメガネ探偵と、まっすぐで素直な新米探偵のコンビに加え、
探偵会社に所属する面々も個性的でキャラがたっているように思う。
浮気調査でもなく派手なアクションがあるでない人捜しが主題なので、探偵が探し当てる対象人や依頼人の人間ドラマが展開される。
人捜しミステリはけっこう見応えがあり、人間ドラマの流れと構成は秀逸。淡泊なメガネ探偵と依頼人や助手の熱さの対比とか、新米助手の視点で物語を動かしているのも巧い具合だと思う。
熱さと淡々とした雰囲気の配分も読みやすい。

園田ゆり
アフタヌーンKC1〜 / 講談社
ジャンル:青年・ミステリ・ドラマ /好み度:★★★★☆
posted by 日暮 at 21:56| Comment(0) | タイトルあ行

2017年11月13日

芋虫少女とコミュ障男子 三三



自分に自信がなく矮小な人間という自覚を持つ男子は、
美人で頭が良く非の打ち所のない幼馴染みの女子に告白され、無理だと答える。
その後女子は行方不明になり、男子の前に現れた時には人ではないものになっていた。
辛いというかせつないというか、なんでこうなった、と言いたくなる展開に心がきゅっと
なる内容だった。
男子は様々な要因で卑屈になっていて、女子の告白を拒否したのは彼女に興味がないからでも
嫌いだからでもなく、自分が惨めになるからという理由。
一方、女子はそんな男子をずっと見てきて自分だけは変わらず男子を好きでいようと決めて
いたが告白して玉砕、自分が優秀な者でなくなったら男子は自分に向いてくれるのかと
ひとでないものになった。
このふたりに女子の願いを叶えた、人にも化けられる人外の女子が加わる。
愚直というか身も蓋もないというか割れ鍋に綴じ蓋というか方向性が刹那的というか。
それゆえに妙ないとおしさも感じるわけで。
わかりやすいハッピーエンドではないがこの物語にふさわしいラストだと思う。

MFCジーンピクシブ全1巻 / メディアファクトリー
ジャンル:少女・オカルト・ドラマ / 好み度:★★★★☆
posted by 日暮 at 21:09| Comment(0) | タイトルあ行

2017年11月12日

うらみちお兄さん 久世岳



幼児参加型の教育番組の
いわゆる「体操のお兄さん」を勤める青年と
出演する子供達の会話劇を中心とした
ちょっとブラックが入ったシュールコメディ。
番組のお約束のテンションで幼児と会話するものの
たまにお兄さんの心の闇がぽろっとはみ出るところが肝。
子供達のよくある質問に、歯に衣着せない直球な返答をしたり
闇を抱えた素顔をだしてみたり。
仕事や人間関係やらの大人のホンネを出してしまう
情緒不安定なお兄さんの側面に幼児たちはどん引きしたり
意味はよくわかっていないけど察したり。
子供に悪影響が、となんでもオブラートに包んでしまう現代に
おいてのアンチテーゼ・・は大げさか。
前知識なしで買ったけどなんか賞をとった作品らしく人気作みたい。
支持されるのはお兄さんの発言は共感してしまう
読み手が多いんだろうか。私もその一人だけど。
夜中の実写ドラマなどの原作にあうかもしれない。

久世岳/一迅社1〜
ジャンル:コメディ / 好み度:★★★☆☆
posted by 日暮 at 17:22| Comment(0) | タイトルあ行

2017年09月20日

アデライトの花 TONO



名家を舞台にした愛憎群像劇とパンデミックオカルトストーリー。
西欧風文化の国の名家・ハント家が舞台。

未成年の長男は他人のほとんどが動物の姿に見え、自分の母と姉のみ。
家の状況を描く中で登場する、母が哀れみで雇った不潔な女中も獣の姿に見える。
そんな中、父の二番目の妻として南国からアデライトがやってくる。
長男にはアデライトも後に生まれるその息子も人間に見える。
二番目の妻とは言うが、実は家同士で婚約を交わしていた相手で、
当主はそれを破って現在の妻と結婚した経緯がある。アデライトはその事実を知らず
輿入れしてきており、故郷にも帰れないので別棟で二番目の妻として
暮らすことに、というかんじ。そしてアデライトにも息子が生まれる。
しばらくしてアデライトは彼女の病に伏せる。彼女の故郷の風土病で故郷では風邪の
ようなありふれた病ゆえ医者も楽観視していたのだが・・というあたりで話が動く。
当主・当主の妻・母・長男・長女、召使いたち、当主の二番目の妻とその子が織りなす群像劇
であり、ジワジワと病が浸食していく過程が描かれるパンデミックものでもある。
エンタメでないさりげない演出にリアリティのある描写、長男の視点という設定で
登場人物が獣と人に分けられているのが興味深い。その違いの尺度は何なんだろう。
あと病の明確な症状に花を使う設定がうまいなあ。綺麗な花と香りが死に直結してるという。
物語の視点は次々と変わり、各々の心情が描かれていく。
エピソードの1つ1つが、フィクションの世界でありながらとても身近に感じることが
多いのも印象的だった。残酷なことも日常的なことも含めて。
著者いわく物語のヒロインという、召使いの女性の描写がまたリアル。
彼女は異臭で周囲から嫌われていたがその理由もきっちり描いてるのが印象深かった。
1巻のあとがき読んで、ええヒロインなん?とちょっと驚いた。
家の中の一連の出来事の傍観者という立ち位置なのかなあとは思ったけど。

Nemuki+コミックス1〜 / 朝日新聞出版
ジャンル:女性・ドラマ /好み度:★★★★★
posted by 日暮 at 17:01| Comment(0) | タイトルあ行

2017年09月14日

明日も未解決 桑田乃梨子

明日も未解決 (楽園コミックス)
桑田乃梨子
発売日:2017-01-31



同級生の男友達・原田が交通事故で死んだ。
同中というのもあり、度々河原の道を一緒に帰っていた吉元は、
葬式の帰り道に感慨にふけっていたところ、原田の霊に話しかけられる。
原田が吉元の背後霊になっているのは、生前原田が吉元に言いたかったことを
思い出せない未練からのようで・・。
原田の未練を解明し成仏させるのが主軸なのだが、究明するかと思うと横道に逸れたり
逸れたようでいろんな方面から話が進んでみたり、と著者独特の絶妙なバランスで
展開されていく。
吉元を始めとして、霊感のある嵐柴や、嵐柴に傾倒する友人やクラスメイト達を
交えての学園ライフ的なお話。
著者のキャラって達観してたり冷静なタイプと、欲に充実なタイプの
バランスがめっちゃ良いんだよなあ。
わがままなキャラはたいてい邪険に扱われる役どころだけど、
めげずに貫いてるとこが良い。
まあ基本的になんのかのと良いやつばっかなので読んでてほっこりする。
茫洋としたというかのほほんとしつつも人物たちは割と理路整然と議論や行動を起こし
最後にはしんみりとほろっとくる締め方が絶妙。

楽園コミックス全1巻 / 白泉社
ジャンル:女性・学園・ドラマ / 好み度:★★★★★
posted by 日暮 at 23:24| Comment(0) | タイトルあ行